御曹司と愛されふたり暮らし
「ハ、ハルくん?」

「こんなこと言うのもおかしいかもしれないけどさ……」

「う、うん?」

「唯はさ、多分、本気で花菜のこと襲おうとは……多分思ってなかったと思うんだ」

「え……?」

「ひどいウソつかれたり、彼女奪われそうになったりとか、過去に何度もあったけど、その、寝取られたりとかはなかったからさ。すごい怖い思いしたと思うけど、どうか、唯のこと心の底から憎まないでやってほしい」


ハルくんが、あまりに真剣な表情でそう言うから。


「ふふっ」

私は思わず、笑みをこぼしてしまった。


「大丈夫だよ。誤解はすべて解けたし、もう怒ってない」

「そうか? 良かった」

「やっぱり、ハルくんは唯くんのことが大切なんだね」

「そりゃ、家族だからな」

「うん……」


私は、ハルくんの肩にこてん、と自分の頭を乗せた。


「花菜?」

「やっぱり、ハルくんはやさしい」

私はそう言って、ハルくんの手に自分の手を重ねた。
< 159 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop