御曹司と愛されふたり暮らし
二週間後。
ハルくんが出張から家に帰ってきた。
「お帰りなさい! お疲れ様!」
「ただいま。ハハ、なんかすごいいいにおいする」
「ふふっ。お夕飯がんばってみました」
久しぶりにハルくんと会えるから、そしてお疲れであるはずのハルくんが少しでも元気になれるように、私は二時間前から気合を入れてお夕飯の支度をしていた。
リビングに並べたそれを、いつもみたいにソファに隣り合って座って、一緒に食べる。
ハルくんの出張先での話をたくさん聞いた。
私の話も聞いてもらったりした。
会えなかった間の時間を埋めるように。たくさんたくさんお話をして、笑い合った。
こんなふうに一緒に過ごす時間は、やっぱりもちろん楽しい。なくなるのは、すごく寂しいと思う。
だけど、だけど……。
「ねえ、ハルくん」
ん?とハルくんが首を傾げて、笑顔で私を見つめる。
離れたって、この笑顔が見られなくなるわけじゃないから。
「私……
このマンションを出ようと思う」