御曹司と愛されふたり暮らし
「ごめん、遅れた」

個室の引き戸がガラリと開き、長身の男性が入ってきた。

そうだった。男性がひとり遅れてくるって最初に言われてたんだった。


「おう、遅かったじゃん!」

そう言うと、私に密着していた茶髪ピアスの男性は、私から離れて立ち上がり、今入ってきた男性の方へと歩み寄った。
私はホッと胸をなでおろした。

今入ってきた男性は、コートを脱いだりしながら、立ったまま茶髪ピアスの男性と会話している。


……それにしても、今入ってきた男性、すごい美形……。

ほかの男性もみんなカッコいい人たちだと思うけど、群を抜いているというか……。


前髪が少し長めの黒髪はすごくサラサラで。
肌は透き通っているかのように白くてキレイなのに、コートを脱ぐと、筋肉質で体格が良いのがわかった。
長身で、百八十センチ以上はあるよね。足が長くて、全体的にスラッとしていてモデルさんみたい。
ていうか、本当にモデルさんとか芸能人の方なんじゃないだろうか。オーラというか、そういう雰囲気がある。

白の薄手のセーターと黒いスラックスという、合コンにしてはかなりラフな格好をした彼だったけど、気づけば女性全員、その彼に釘付けになっていた。


その後、茶髪ピアスの男性が私の隣に座り直し、モデルのようなその男性は、私の正面の席に座った。

至近距離で正面から見ると、やっぱりすごくカッコいい人だなと思う……。
切れ長の目、長いまつ毛。キリッとして整った眉、形のいい鼻と唇。テレビや雑誌でだって、こんなにカッコいい人なかなか見ない……。


……あれ?でも私、この人のことどこかで見たことあるような……?
でもこんなカッコいい男性の知り合い、私にいるわけないよね……。
それこそ、テレビや雑誌で見たことあるのかな?

でも、なんとなく、そういうんじゃないような。
テレビや雑誌とかじゃなくて、もっとこう、懐かしいような……。


そんなことを考えながらその男性をうっかり見つめてしまっていると、パチッと目が合ってしまった。
あわわ、と私は慌てて視線を逸らした。
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