御曹司と愛されふたり暮らし
「わかった」

彼も私の目を見て、やさしい笑顔でそう答えてくれた。


気持ちが届いたこと、そしてそれを受け入れてもらえたこと、その上で私とまた”友だち”になってくれるということに、なんだか安心して……私はなぜか泣きそうになってしまった。

涙をこぼすわけにはいかなくて、パッと上を向いた。


そこには、さっきよりも星が輝いて見えた。



「星がキレイだな」

ハルくんも隣で、そう言ってくれた。


「そうだね」と答えて、私もしばらく空を見上げ続ける。


キレイな星を見て、心が癒されるのと同時に、トクン、トクン……と、なぜか胸が高鳴り始めるのを感じた。


……ん? なんだろう、この気持ち。



「そろそろ帰るか」

しばらく空を見上げていたけど、ハルくんが立ち上がってそう言った。

私も、うんと答えて一緒に立ち上がるけど。


この不思議な胸の高鳴りの理由がわからなくて。

それに。


もうちょっとだけハルくんと星を見ていたかったな、なんて思ってしまった自分もいて。


変なの。こんな気持ち、初めて。



……違う、初めてじゃない。

私は知ってる、この気持ちを。


以前この気持ちを感じたのは……



小学生の頃。


感じていた相手は……ハルくん。



「私、もしかして……」

マンションへの帰り道を歩いている途中で、ついひとりごとがこぼれた。


「なに?」

と、ハルくんが私に振り返るけど。


「う、ううん」

私はつい焦ってそうごまかした。



まだ、確信はないけど……




もしかしたら私、またハルくんのことを





好きになり始めてるのかな……。


星空の下をふたり並んで歩きながら、私はそんなことを感じていた……。
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