御曹司と愛されふたり暮らし
運動がニガテな私は、頭上にいるハルくんからアドバイスをもらいながらゆっくりゆっくりと木を登り……あと少しで彼のいるてっぺん、というところで、彼が手を伸ばしてくれた。

だけど私は、その手を取る寸前で、足を滑らせ、木から落下してしまった。


打ち所が悪くて足に大ケガをしてしまった私は、そのまま病院に入院。卒業式にも出られなかった。

卒業式に出られなかったことは仕方なかった。
だけど、ずっと引っかかっていた。
ケガをしたことを嫌な思い出だったと感じたことは一度もない。
だけど、ハルくんは優しい男の子だったから。
私の不注意のせいで私がケガをしたことを、彼が自分のせいだって責めていないか心配になって。

だけど、中学校は別々だったし、連絡先も知らなかったから、あれ以来ハルくんと会うことは一度もなかった。


いつかもう一度会えないかとはずっと思っていた。
私は元気にやってるよと、そう伝えたいとずっと思ってた。
私の、初恋の人に。
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