御曹司と愛されふたり暮らし
「花菜? なにしてんだよ。早く行くぞ」
そんな私の気持ちにはまったく気づくことなく(案外鈍感なハルくんのことだ。周囲の女性たちからの視線にも気づいていないかも)、彼は楽しそうに私に手招きする。
……ま、いっか。
せっかくふたりでゆっくり遊びに来たんだもん。
楽しまなきゃ、損だよね‼︎
私は「そうだね!」と元気よく返事をすると、ハルくんの隣を歩いた。
最近できたばかりのこの水族館は、とにかく広いし、キレイだし、そして世界中の魚が展示されていた。普通の水族館ではなかなかお目にかかれないレア種なんかもここにはいた。
巨大水槽はもちろん、高さが三メートル近くあるドーナツ型の水槽は、まるで魚たちが優雅に空を泳いでいるようだった。
「すごーい」
キラキラと泳ぐたっくさんのイワシたちを見て、思わず子どもみたいな感想を口にしてしまう。
「ははっ。そうだな、すごいな」
でもハルくんはそんな私をバカにすることなく、一緒に笑ってくれる。
そして。
「イワシって美味いよな」
「うん……って、イワシの前でそういうこと言わないでよ」
「ああ、ごめんごめん。じゃあこういうのは? イワシは紫式部の好物であったという説があるらしいぜ」
「え、そうなの? でもどっちにしろイワシが人に食べられる、という話だね……」
私も正直イワシは好きだけど、やっぱりイワシの前でその話をするのはイワシに失礼だろう。
でも。
「ハルくん、お肉とお魚ならお魚が好きなの?」
私がそう尋ねると、ハルくんは「うーん」と少し考えて。
「そうだな。どっちも好きだけど、魚が好きかな」
と答えた。
そうなんだ。せっかく一緒に住んでて、彼のご飯も用意しているんだし、こうして彼の好きな食べ物を少しずつでも知っていけたらいいな。
そんな私の気持ちにはまったく気づくことなく(案外鈍感なハルくんのことだ。周囲の女性たちからの視線にも気づいていないかも)、彼は楽しそうに私に手招きする。
……ま、いっか。
せっかくふたりでゆっくり遊びに来たんだもん。
楽しまなきゃ、損だよね‼︎
私は「そうだね!」と元気よく返事をすると、ハルくんの隣を歩いた。
最近できたばかりのこの水族館は、とにかく広いし、キレイだし、そして世界中の魚が展示されていた。普通の水族館ではなかなかお目にかかれないレア種なんかもここにはいた。
巨大水槽はもちろん、高さが三メートル近くあるドーナツ型の水槽は、まるで魚たちが優雅に空を泳いでいるようだった。
「すごーい」
キラキラと泳ぐたっくさんのイワシたちを見て、思わず子どもみたいな感想を口にしてしまう。
「ははっ。そうだな、すごいな」
でもハルくんはそんな私をバカにすることなく、一緒に笑ってくれる。
そして。
「イワシって美味いよな」
「うん……って、イワシの前でそういうこと言わないでよ」
「ああ、ごめんごめん。じゃあこういうのは? イワシは紫式部の好物であったという説があるらしいぜ」
「え、そうなの? でもどっちにしろイワシが人に食べられる、という話だね……」
私も正直イワシは好きだけど、やっぱりイワシの前でその話をするのはイワシに失礼だろう。
でも。
「ハルくん、お肉とお魚ならお魚が好きなの?」
私がそう尋ねると、ハルくんは「うーん」と少し考えて。
「そうだな。どっちも好きだけど、魚が好きかな」
と答えた。
そうなんだ。せっかく一緒に住んでて、彼のご飯も用意しているんだし、こうして彼の好きな食べ物を少しずつでも知っていけたらいいな。