猫な私の甘い恋
凄いなぁ。

そう感想を持って廊下を眺めていると、誰かに声をかけられた。

「麗ちゃん、ちょっと休んできなよ。」

愛ちゃんだった。

「え!こんな忙しい中、私が抜けて休むなんてみんなに悪いよ!」

そう言うと愛ちゃんが首を横に振る。

「いいの。だって麗ちゃんが抜ければ男子が帰ってくれるもん。」

あ、そっか。私目当ての人が多いのか。なら抜ければみんなが休める。じゃあちょっとだけ……休もうかな。

そんなことを思ったが、なんか自分が必要とされていない気がして複雑な気持ちになる。

「……いいよ。みんなが休めるなら。」

「ありがとう!じゃ、ごゆっくり。」

教室に入る直後、私に手を振る愛ちゃん。私も愛ちゃんに手を振る。

じゃあ更衣室行くか。

1歩踏み出した──が、誰かに腕を掴まれた。
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