猫な私の甘い恋
ひ、彪。

彪の、声だった。私を困らせる優しい、声。

『麗が好きだ。』

彪の声が蘇る。

や、やだ。私は颯さんが好きなの、颯さんが!

「大丈夫?」

突然、颯さんに声をかけられた。いつの間にか私は何かに怯えているような顔をしていた。

「あ……大…丈夫、で…す。」

途切れ途切れに言葉を発する。今日、颯さんへの罪悪感が生まれた。まだ、彪と颯さんで揺れている。そんな私がいることに。

「……いや、大丈夫じゃないよ。顔色が悪い。デートは止めて早く帰ろう。」

「えっ。いいですよ。私、大丈夫なの……でっ!」

最後の音が上がったのは私が転びかけたせい。思わず颯さんの肩に手を掛けてしまった。

「おわっと。ほら。大丈夫じゃない。帰ろうよ。ね?」

私の身体を気遣ってくれる颯さん。

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