猫な私の甘い恋
「ひっ!」

さっきまでの威勢はどこへいったのか。愚かな声が部屋に響く。そんなことはお構いなしに鉄の棒を男に叩きつける。男は崩れるようにして倒れ込む。

「警察に電話入れとくから。」

上から見下すようにして言葉を放つ。そして彪は私に抱きついてきた。

「わ!あ、ちょ彪?」

彪は腕に力を籠めるばかりで何も言わない。

「…どうしたの?」

また優しい言葉を掛けてみる。

「…良かった。…良かった。麗を守れなかったらどうしようって思ってたんだ。もう会えなかったらどうしようって思いながら探してたんだ。……良かった。」

…そんなに私を思ってくれてるの?どうして…どうしてそんなに私ばかり見るの?どうして…。

「もう。なんでいつも私なの?いいじゃん。他の子で。今日だって…なんの手掛かりもなしに…」
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