ever after
その日のうちに、花婿側からホテルの不手際で披露宴がぶち壊しになった、とクレームが来た。
しかしホテルの顧問弁護士が間に入っただけで、そのクレームは来なくなったという。
僕自身もとくにペナルティはなく……。
翌日には、当たり前の幸福に包まれた披露宴を無事に終え、あらためて、キャプテンとしての第一歩を踏み出した。
だが僕の中から決して消えることはないだろう。
様々な視線を受け止めながら、凛として立ち続けた花嫁の姿だけは――。
~*~*~
「じゃあ、今日のお嫁様って、二年前の?」
「ああ、そういうこと」
今日の披露宴で我がホテル初の女性キャプテンを務める後輩の質問に、僕は微笑みながら答えた。
「それで納得しました。皆さんの様子がいつもと違って、気にはなっていたんですけど……誰も教えてくれなかったんです」
後輩の返事に苦笑する。
きっとみんな、僕に気を遣っていたのだろう。
「だったら、よかったですねぇ。今度こそ“素敵な男性”に巡り合えて」
その言葉が聞こえたらしく、周囲のスタッフからクスクス笑いが上がった。
「まさか……また、女性が飛び込んできたりしませんよね?」
「そんなこと、あるわけないだろう」
「絶対ですか?」
絶対だ、と言おうとしたとき、支度を終えた花嫁がチャペルの扉の前まで、付き添い人に連れられてやって来た。
彼女は純白のウエディングドレスを身に纏い、二年前より幸せそうに微笑んでいる。
そして……
扉の前で待つ花婿の――“僕”の隣に立った。
しかしホテルの顧問弁護士が間に入っただけで、そのクレームは来なくなったという。
僕自身もとくにペナルティはなく……。
翌日には、当たり前の幸福に包まれた披露宴を無事に終え、あらためて、キャプテンとしての第一歩を踏み出した。
だが僕の中から決して消えることはないだろう。
様々な視線を受け止めながら、凛として立ち続けた花嫁の姿だけは――。
~*~*~
「じゃあ、今日のお嫁様って、二年前の?」
「ああ、そういうこと」
今日の披露宴で我がホテル初の女性キャプテンを務める後輩の質問に、僕は微笑みながら答えた。
「それで納得しました。皆さんの様子がいつもと違って、気にはなっていたんですけど……誰も教えてくれなかったんです」
後輩の返事に苦笑する。
きっとみんな、僕に気を遣っていたのだろう。
「だったら、よかったですねぇ。今度こそ“素敵な男性”に巡り合えて」
その言葉が聞こえたらしく、周囲のスタッフからクスクス笑いが上がった。
「まさか……また、女性が飛び込んできたりしませんよね?」
「そんなこと、あるわけないだろう」
「絶対ですか?」
絶対だ、と言おうとしたとき、支度を終えた花嫁がチャペルの扉の前まで、付き添い人に連れられてやって来た。
彼女は純白のウエディングドレスを身に纏い、二年前より幸せそうに微笑んでいる。
そして……
扉の前で待つ花婿の――“僕”の隣に立った。