溺愛の定義
ホントはずーっと前から悠人だけが好きだった。

小さな時は友達として。小学生からは男の子として。そして、大きくなってオトコとして。

学校はずっと違ってたし、平凡な私が悠人を好きでいたって誰かにからかわれる事はなかった。

でも、思春期に残酷な現実に気付く。

ヒーローの横にいるのはヒロイン。脇役の私が悠人の横に立つ事はないんだ。

そして、私は悠人から距離を置いた。元々頻繁に会うわけじゃなかったけど、会った時に素直に出していた好意にフタをして素っ気なくなった。

お母さん達は「成長かしらねー」なんて呑気に話してたけど、私には泣きたいくらいツライ事だった。

でも私が離れようとした分近づくように、悠人は私にかまった。

考えてみたら甘い言葉をよく聞くようになったのはこの時期かもしれない。
小さい時からフェミニストで洋服や髪型の変化をキチンと気付いて褒めてくれてたけど、褒め方が変わったのだ。装飾から、私自身に。

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