溺愛の定義
でも私は自分の気持ちを否定する事に精一杯で、悠人のそんな変化に気が付かなかった。

そして私が気が付かない間に悠人の糖度は更に増した。

高校生になると度々、私を迎えに来たんだ。もちろん学力に差がある私達は別の高校に通っていたけど、両校は徒歩圏内の近さで。
部活の後の遅い時間に帰るのは心配だからって言ってたけど、他の子もみんな同じ時間に帰る。だから大丈夫!って言ってもあの笑顔で言うんだ。

「俺がしたいんだから、そうさせて」

度々迎えに来る進学校の王子様の噂はすぐに広まって、私は男女グループの遊びには誘ってもらえなくなった。
彼氏に悪いでしょって言うのが表の理由だけど、ホントは恋人が出来るかも!って狙って行く遊びに彼氏彼女持ちはNGだったから。

私が何度否定したって優しい笑顔で迎えに来る悠人をみたら信じてもらえる筈がなかった。

なんだかんだ、悠人のお迎えは大学生になった今でも続いていて。私が人生1度も彼氏が出来ないのは悠人のせいだと、ちょっと責任転嫁してた。

ま、彼氏がいようがモテるコはモテるんだから、私自身に魅力がないんだけどさ。
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