溺愛の定義
「もう、いい」

フイッと横を向いたらグリグリと頭を撫でられた。

「もーそういう顔も可愛いから!あんまり誰にも無防備に見せちゃダメだって」

‥‥だから、そんな事思うの悠人だけだって。

「悠人、ブス専って言われたことない?」

自虐的だなーっと思いながら言ってみる。自分で言わないと現実を見失ってしまうから。

ど平凡な外身と中身。
大学だって知名度の低い私立大学。彼氏だっていないどころか告白だってされたことない。

「言われるわけないよ!美羽はその自己評価低いトコ、治したほうがいいよ」


‥‥やめよう。優秀な悠人に口で私が敵うわけがないんだった。


「ね、美羽、デートしようよ」

反論をやめたのは、自論を引っ込めたわけじゃないのに。

「俺、美羽の初体験は全部独り占めしたいからさ。今日は博物館行こうか?」
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