溺愛の定義
悠人はわたしの『初めて』に異様にこだわる。

デートの定番、映画館や遊園地なんかは中学生の時に経験済みだ。
その後も美術館やらお台場、お花見に紅葉狩り、夏祭り辺りは高校生までに行ったかな。

大学生になってからは横浜、夜景、スノーボード。お金と時間が自由になった分、遠出も増えた。

「博物館かぁー、特別展の内容によるかな」

「先週から美羽の好きなギリシア展だよ」

「‥‥行く」

ズルい。ちゃんと私の好みも押さえてる。

まぁ当然と言えば当然だけど。だって私達が知り合ってからの年月イコール年令だ。

家が近い訳じゃなかったけど、母親同士が友達で幼少期は驚くほど頻繁に会っていた。

小学生になって流石に頻度は落ちたけど、刷り込まれた記憶って恐ろしい。お互いの中で相手は1番親しい友達だという認識は変わらなかった。

悠人の、私を基本とする美意識も。

それは全てに秀でた彼の唯一の汚点だと、私は今も信じている。
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