校庭に置いてきたポニーテールの頃
昼休み。いつもはにぎやかな廊下が、なんだか今日は静まり返っている気がする。

慌てて教室に入ったクラスメイトの女子がマナに言った。


「愛未ちゃん!隠れた方がいいよ!」

「……えっ?」


次の瞬間、教室の扉の方で大きな声がした。


「なあ愛里。浅倉愛未ってどいつ?」


不良で有名な3年の下村先輩だ。

下村先輩の隣には、A組の愛里ちゃんとその彼氏の村瀬先輩もいた。

村瀬先輩は愛里ちゃんの肩を抱いている。


「あれ?どの子だっけ?あっ、真綾ー!」


愛里ちゃんがわざとらしくとぼけている隣で、村瀬先輩はマナのことを知っているのか、あからさまにマナの方を向いてニヤニヤしていた。

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