校庭に置いてきたポニーテールの頃
「私歩くの遅いかな、ごめんね」

「……え?あぁ、ごめん。俺が早かった?」

……失敗した。今のは嫌味っぽく聞こえたかな。

そういうつもりじゃないのに、またヒロに気を遣わせてしまうなんて。


「ごめんな。俺、宮西のこと考えないで勝手にこんなことしてさ。

よく考えてみりゃ迷惑だよな。

ここって宮西の家の近所だし、男と二人で歩くのなんて見られたら恥ずかしいよな。

……やっぱり俺、ここで帰るよ」


「え!?」

うつむいていた私は突然のヒロの言葉に、思わず彼の顔をがばっと見上げた。

ヒロは笑っているはずなのに、なんだか泣きそうな顔をしてるみたいに見える……

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