校庭に置いてきたポニーテールの頃
「私、迷惑とかそんなふうには思ってないよ」

このままヒロが帰ってしまうのは嫌なのに、それをうまく言葉にすることができない。


まだ、一緒にいたい……

どうやってヒロに伝えたらいいんだろう。


私は無意識のうちにヒロのウインドブレーカーの袖をきゅっと軽くつまんでいた。


「宮西……?」

「……誤解させてごめん。なんか、うまく伝えられなくて」


『一緒にいたい』

『行かないで』


今だって胸がきゅうっと締め付けられるように苦しくなっているのに、本心を口にすると涙が出てしまいそうな気がした。

こんな気持ちになるなんて、私ってヒロが好きなんだろうな……

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