校庭に置いてきたポニーテールの頃
「思い出すよね。あっかがヒロを好きって聞いたときのこと」

「やめてよ、昔のことじゃん。恥ずかしいな。変なこと思い出さないでよ」


バッグから出したソフトビスケットの袋を開けながら、唯が笑って話す。

お菓子をねだっていた二人の子どもが目を輝かせながら、じっとお母さんの手元を見つめている。


「おかあさん、はやく」

「おかさん、はやく」


その様子があまりにも微笑ましくて、私も自然に柔らかい笑顔を作ることができる。


私の年代だと唯の他にも子持ちの友達は多い。ちょうど姉にも娘ができたばかりだ。

育児は大変ってよく聞くけど、お母さん達はみんなそれを嬉しそうに話していた印象がある。

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