校庭に置いてきたポニーテールの頃
ちょうどあの頃の気持ちは、今の大樹への想いと少し似た部分があるのかもしれない。

合コンの夜、大樹がマナに布巾を差し出す姿がなぜか急に、彼とは間逆な性格のヒロと重なってしまうように思えた。


理由だってわかっている。

どちらもその視線は最初、私の方に向けられていたから。


「まあ、そんなこともあったけど。きっとヒロだってもう結婚しているよ」


氷が溶けて、味の薄くなったアイスティーをストローで飲み干した。


もちろん、ヒロへの気持ちはこの先も忘れることはないだろう。

だけど、あれから何年も時が経っている。


同窓会の通知をきっかけに、ふわりとヒロのことを思い出したけど、やっぱりそれは思い出に過ぎないのだ。

このアイスティーのように、時間が経つほどヒロへの想いは確かに薄くなっていた。

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