校庭に置いてきたポニーテールの頃
ヒロはあの頃よりもだいぶがっちりとした印象を受けた。

「おぉ、マナミに宮西じゃん。お前らも変わんないな」


その声は、記憶の中のものより低かった。

それでも彼の声を聞くと、一気にあの頃の教室の光景が目の前に広がった気がした。


……懐かしいな。会えて良かった。


「ヒロも今は北川市にいるの?」

「おう、北川市で消防やってる」


あ、なんかヒロっぽいかも。あの頃から正義感が強かったもんね。


「宮西とは高校卒業以来か?ほんと懐かしいな」


私とヒロは同じ高校に進学していた。

三年間、同じクラスになることはなかったけど、私は高校時代にバスケ部のマネージャーを務めていたため、ヒロとは変わらずに親しくしていた。


「ヒロ、結婚してるんだね」

「うん、冬に子供も産まれる予定」

「へえ、パパになるんだ」


ヒロの左手の薬指には、指輪が光っていた。

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