校庭に置いてきたポニーテールの頃
「え、宮西、日糠にいるの?」

「うん、看護大出てからずっとだよ」

「それなら大嶋に会ってない?」

「えっ?」


突然出された彼の名に、心臓が飛び跳ねてしまう。

……大嶋に会うってどういうこと?


「大嶋なんて、中学卒業してから一度も会ってないよ……」


言葉が震えながら消えていったこと、二人に気づかれただろうか。


どうしよう、心臓がバクバクしたまま止まんない。

無意味におしぼりで手を拭いた。そうでもしないと、手が震えて落ち着かないから。


「え?なになに?大嶋も日糠にいるってこと?っていうか、今日は来れなかったんだ?」


私が聞きたいことを、マナが代わりに聞いてくれた。

大嶋がいなくなってからというもの、あんなに会いたいって思っていたのに、今更同じ市内に住んでいるなんて。

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