校庭に置いてきたポニーテールの頃
するとお母さんが、珍しく真剣な表情で私の目を見た。

普段こんなお母さんの顔を見ることはなく、やましいことがある訳じゃないのに、私はつい目を逸らしてしまった。


「……成績がどうこうじゃないの。最近の灯里は元気がない気がして、それがお母さん心配なのよ」


まさか失恋しているなんて、お母さんに言えるわけがない。

学校でしているのと同じように、お母さんにも笑顔を見せる。


「ほんとに今回はたまたま調子が出なかっただけ。だから大丈夫だよ」


すると、お母さんは大きなため息をついた。

呆れているっていうのも違うように見えるけど、疲れているみたいな長い息を吐き出した。


「灯里が学校で悩んでることがあって、それをお母さんに言いたくないことならば、お母さんも無理して聞いたりしない。

ただ、家の中では我慢しないでほしいの。


灯里は隠しているのかもしれないけど、我慢していることだけはお母さんにもわかっちゃうから。

忘れないでほしいのは、お母さんはいつだって灯里の味方ってことだよ」

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