校庭に置いてきたポニーテールの頃
「来年は受験生だね。いいよね、あっかは。心配事なんてないでしょ」

終業式の今日は全ての部活が休みで、私は久しぶりに唯と一緒に通学路を歩く。


一方でマナも、ヒロと帰るのは久しぶりだったみたい。

校門で手を振って別れたけど、二人が並んだ後ろ姿にはまだ慣れなくて、胸の中がきゅって音を立てながら、苦しく締め付けられていたんだ。


「私だって心配なわけじゃないよ。学年末の成績だって落としてるし」

「それでもいい成績だったじゃん。私なんて緑ヶ丘も怪しいのに」

「大丈夫だよ、まだ一年あるじゃん」


さすがに一年もあったら、ヒロのことなんて考えないようになるのかな。

そんなふうになっている自分が想像つかない。


澤田の時はクラスも違ったし、その後でヒロに恋をしたから立ち直るのも早かった。

だけど、ヒロのことを忘れさせてくれる人なんているんだろうか。

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