校庭に置いてきたポニーテールの頃
中学三年生となると当然、話題のトップに上がるのが受験についてだった。

「大嶋はもちろん東高受けるんだろ?」

今までヒロとそんな会話をしたことはなかったけど、三年生になってから初めて聞かれたのだ。


「うん、多分な。お前もだべ?」

「おう。部活引退したら、まじ勉強頑張らないとな」


父親は今年も三年生のクラスを受け持っている。今年度末こそは本当に異動の可能性は高いだろう。

けど母親からは、高校受験に関しては好きなところを受けてもいいと言われた。


家族が北川市から離れて俺が一人残ったとしても、寮を借りればいい話だ。

だからまだこの頃はあまり受験についても深く考えてはいなかったんだ。

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