校庭に置いてきたポニーテールの頃
「ねえ、ヒロ。今日は部活あるの?」

「始業式だからないよ。一緒に帰ろうか」

「やったぁ!プリクラ撮りたい!」

「えー、こないだも撮っただろ」


五人で一緒にいる中でも、こうした二人だけのやりとりは頻繁に起こっている。

これが他人事なら微笑ましい光景なんだろうけど、俺らの場合はそこに微妙な空気が流れてしまう。


事情を知る浦東も、多分この瞬間は気まずい思いをしているんだろう。

俺も浦東も意識的に宮西の方は見ないままだ。


それでも宮西がこの二人のやりとりを笑いながら見ていることは、いちいち顔を見なくとも周りの空気だけでわかってしまう。


こういうときは時計を見ながら早くチャイムが鳴らないかと、ただそれだけを思っているんだ。

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