校庭に置いてきたポニーテールの頃
「あっ、ごめん……!」

「大丈夫だ、気にするな」

足元に落ちていたバトンをすぐに拾い上げてから、体勢を整えて走り出す。

視界には、向こう側でバトンを受け渡しているD組が見えた。


走り終えてまた列の後ろについたときに、前にいたヒロが「大丈夫か」と声をかけてくる。


「宮西、バトンパス苦手みたいだな」

「そうなんだ、手を離すタイミングが早すぎるんだ」


宮西に限らず、運動が苦手なやつらはバトンパスが苦手な気がする。

俺やヒロは、小学校の頃に何度か運動会の選抜リレーに参加したことがあって、バトンパスは自然と身についていただけなのかもしれないが。


体育の先生も俺らの走りを見てて、同じ感想を持ったようだ。残りの授業時間はバトンパスの練習をすることになった。

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