校庭に置いてきたポニーテールの頃
俺が歌ったのをきっかけに、後半は懐かしいアニメソングが続いた。

幼い頃の記憶が呼び起こされたせいか、俺も宮西も「懐かしい」なんて言いながら、子供みたいにはしゃいで歌っていた。


最初はテーブルを挟み向かい合わせに座っていたけど、椅子の上に立ち上がって歌ったり、前に出てモニターの横で歌っているうちに、俺はなぜか宮西の隣に座るようになっていた。


そして宮西も嫌な顔をしていなかったと思う。俺がふざけてモノマネをしながら歌うと、笑いながら背中をばしっと叩かれた。


「やめてよ大嶋。涙、止まんないんだけど」

「いてっ。お前、本気で叩くなや」

「ごめんごめん、だって面白いんだもん」


叩かれた部分が熱を持ち、全身にじわじわと甘く広がっていく。

このまま時が止まってしまえばいいのに。宮西と二人で笑いながら、ずっとこうして一緒にいたいと思ってしまったんだ。

< 243 / 345 >

この作品をシェア

pagetop