校庭に置いてきたポニーテールの頃
「あー、スッキリした。大嶋、今日はありがとう」

スッキリした、か。やっぱり何か悩みを抱えていたのかな。

一瞬だけ躊躇ったけど、思い切って聞いてみることにした。なんでもないことかもしれないけど、気になって仕方がなくなるだろうから。


「何かストレスでもあったのか?」

「え?ううん。単純にいろんなことがうまくいかなくて、少しイライラしてただけ。ほら、リレーとか」


さらに勇気を出して言ってみる。今なら勢いがついているから言えそうだ。


「去年の冬に、俺がお前に言ったこと覚えてる?」

宮西が軽く首を傾げながら俺を見上げる。


「お前がヒロを諦めるか迷っていたとき。どっちを選んでも、俺はお前を応援するよって」

ほんの一瞬、宮西の表情が曇ったように見えた。

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