校庭に置いてきたポニーテールの頃
多分、俺が複雑な表情をしていたんだと思う。慌てた様子で宮西が言葉を付け足す。

「えっと、うまく言えないけど、大嶋って男子だし、もっと私とは距離が空いている関係だと思っていたから」


宮西、顔が赤いのか……?

紅く染まった頬は、夕焼けに照らされているせいかもしれない。

俺も同じように見えているんだろうな。今なら本当に顔が赤いとしても、きっと気持ちまではバレないはずだ。


「ありがとう大嶋。来週リレー頑張ろうね。私、午前中たくさん練習したんだよ」

「うん、知ってる。頑張ろうな」


頬を紅く染めたまま、宮西が笑顔を見せてくれた。その不意打ちから心臓が跳ねた途端に、ごまかすように慌てて自転車の方に向かった。

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