校庭に置いてきたポニーテールの頃
「あっか、さっき学校来るときに転んじゃって、ひざ擦りむいてるの。だからチャリ乗せてくれないかなって。さらに絆創膏とか持ってたりしない?」


見ると、宮西のひざは赤く滲んでいた。

ひざ丈のデニムスカートでちょうど陰になっていたため、今まで気が付かなかった。


「悪いけど、さすがに絆創膏までは持ってないわ。けど、チャリくらいは構わんよ。後ろ乗りなよ」


平静を装っているつもりだけど、俺は心の中で思い切りガッツポーズをしていた。


「ほんとにいいよ、大嶋。別に擦り傷だけで歩けないわけじゃないし」


確かにそうなんだ。宮西のひざの傷はどう見てもただの擦り傷だ。これで歩けないなんて言っていたら大げさすぎる。


「せっかくだもん、あっか。乗せてもらいなよ」


なぜか浦東が猛烈に勧めていたため、場の空気から宮西は結局俺の後ろに乗ることになった。

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