校庭に置いてきたポニーテールの頃
『そこの二人乗り、降りなさい』

背後から拡声器を通して声が聞こえてきた。宮西が振り返って確認すると「大嶋やばい、警察だよ」といった。


「やべ、速度あげるぞ。ちゃんと掴まれよ」


住宅街がある細い路地に入り、しばらく走り続けていた。

まさかこんなチャリを追っかけるほど、警察も暇なわけはないだろうけど、逃げているスリルを感じていた。


「まだ警察いるのか?」

「ううん、いない。なんだか悪いことしてるみたい。ちょっとだけ楽しいね」

「実際に二人乗りは悪いことだからな」


表情は見えないけど、いたずらっぽく「へへっ」と笑う声が聞こえてきた。

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