校庭に置いてきたポニーテールの頃
「ありがと、帰りもよろしく」

「ばか、帰りは上り坂ばかりなんだぞ」


焼肉店に着き自転車から降りた宮西は、俺に手を振ってから浦東と浅倉の元へ駆けていった。

俺はその後ろ姿を見ながら、一人で余韻に浸っていた。


「よう大嶋。お前、宮西と付き合ってんのか?」

「ちげえよ、成り行きだ」


急に声を掛けられたため、少しだけ大きな声が出てしまった。

口元が緩んでいたところをヒロに見られてしまっただろうか。でもそれでも別にいいや。


ヒロと店内に入ると、宮西達はいつもの三人組で固まって予約席の奥の方に座っていた。

俺はヒロと予約席の手前の方に座った。さり気なくその場に腰を下ろしたけど、あえて宮西が見える位置を選んでいた。

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