校庭に置いてきたポニーテールの頃
しばらく俺は無言のまま歩いていた。宮西もそんな俺の様子に気がつき、そして思い当たったように突然話を切り出した。


「私もヒロのことはもう吹っ切れているよ」


その言葉に思わず立ち止まり、何も言わずに宮西の顔を見た。


「たくさん気にかけてくれていたのに、言わないでごめんね」


自分の心臓がバクバクいってるのが聞こえる。首を振るのが精いっぱいで、言葉は出てこなかった。


「えっと、今はね、他に好きな人がいるんだ」


真っすぐ俺の目を見ながら、少しだけ震えた声で宮西が言った。


俺が感じていたのはショックではなかった。何も根拠はないけど、直感で宮西の好きな人は俺なんだと感じてしまった。


「……そっか」


それなのにこういうとき、どうしていいのかわからなかった。

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