校庭に置いてきたポニーテールの頃

「母さん、俺、今まで私立なんて考えてなかったんだ。だけど先生から力試しって聞いたとき、ちょっとだけ挑戦したいと思ったんだよね」


今のところ俺は、常にトップの成績を修めている。

だけど自分の成績が、学校から一歩外に出た広いステージで、どれだけ通用するのか単純に試してみたかった。


「あくまでも入学はこっちでする。だから受験料だけかかってしまうけど……」


「……実はね、お母さんも先生の話を聞いた時から、札幌の私立について考えてみたんだ。

考えてみたら、塾にも行かずにこんなに頑張っていたこと、もっと褒めてあげるべきだったね。


お金のことは気にしなくていいよ。私立でも、札幌ならおばあちゃんの家から通えるし、入学しても負担はそこまで大きくならないから。


どうしても東高に入学したいならそれでも構わないけど、私立に入学するとしてもお母さんもお父さんもちゃんと応援するからね」