校庭に置いてきたポニーテールの頃
前回、大嶋と居酒屋で再会した後に、二人でカラオケに行った。

最初は楽しく歌っていたはずだったのに、いつの間にか私はあの頃の想いを打ち明けていたのだ。


アルコールが入っていたせいか、私は少し泣いてしまった。

しかしその涙には、深い理由なんてない。


中学校の頃、大嶋の気持ちに応えなかったことを今更後悔しているわけではないと思う。

確かに当時は後悔したかもしれないけど、あれから15年も経ってしまえば、もうそれも過ぎた話だ。

当時を思い出すことはあっても、涙を流すほど苦しくなったりはしていないはず。


それでも涙が出たことに理由があるとするならば、それは多分、場の雰囲気なんだろうな。

そして大嶋もきっと雰囲気に流されたんだと思う。気がつけば私を抱きしめていた。

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