校庭に置いてきたポニーテールの頃
ある程度食事が終わったところで、突然大嶋が聞いてきた。


「ところでお前、たばこ吸うの?」


……しまった、片付けるのを忘れていた。大嶋は、飾り棚に置きっぱなしにしてあった灰皿を見つけてしまったのだ。


「ううん、それ来客用なんだ」


大嶋は「ふうん」って言ってからそれっきり何も聞かなかったけど、思いっきりワイルドなデザインのそれを見て、彼は何を感じたのだろうか。


私は食器を洗うために流し台の方に向かう。気まずくなるのを避けるためにそうしたのだが、かえって逃げていると思われたかもしれない。


それでも、食器を洗いながらふと気がついたことがあった。


私、大嶋に誤解されたくないって思っている。多分このまま、どんどん彼のことを好きになっていくんだろうな。

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