校庭に置いてきたポニーテールの頃
嫌ではないはず。再会した時からこうなることだって考えていた。


だけどこの違和感はなんだろう……


大嶋の顔がゆっくりと近づき、優しく唇が重なる。そしてそのまま彼の舌が私の舌を捕らえると、唇の隙間から声にならない音が漏れる。


違和感だらけの頭の中とは裏腹に、身体からはどんどん力が抜けていく。目元がとろんとしてきて、私はついに目をつぶった。


左右にだらしなく床に垂れ下がった私の両手は、大嶋の手によってすっぽりと包まれてしまう。


流し台に寄りかかっていた私は、大嶋の体重ですっかり体勢を崩してしまい、その場に仰向けに倒れてしまった。


私の身体の上に大嶋の大きな身体が重なる。密着した胸からどくんどくんと鼓動が聞こえる。

これはどっちの心臓の音なんだろう……

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