校庭に置いてきたポニーテールの頃
大嶋の顔がゆっくりとずれていき、私の耳を甘噛みする。熱い吐息が耳から入り込む瞬間に、私の身体も熱くなっていく。


「ま、待って」吐息に混じり、思わず口をついて出てしまった。


聞こえているはずなのに、大嶋の動きは止まることがない。私の首筋に唇を這わせながら、鎖骨に顔を埋める。


「ねえ、本当に待って」


大嶋の肩を強く掴んだところで、ようやく動きが止まったようだった。大嶋がゆっくりと起き上がり顔を上げる。


「……なに。まさか処女じゃないだろ」


この感じている違和感を、どうやって大嶋に説明すればいいんだろう。


仰向けのまま座っている大嶋の顔を見上げると、知らない人のように感じてしまった。

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