校庭に置いてきたポニーテールの頃
そういえば、年が明けてからあまり宮西と話をする機会がなかった。

ヒロは気を遣うなといいつつも、周りはやっぱりそれなりに配慮する。五人で集まることはすっかりなくなった。


もちろん、それだけが理由ではない。今は何よりも受験が第一だ。


そんなこんなで、話せないことは仕方がないんだけど、相変わらず目線だけは彼女の姿を追っていたのだ。


ところで、宮西の方もヒロ達が別れたことを聞いただろう。あいつはそれを聞いてどう思ったのかな。

散々苦しい思いをして、浅倉のためにヒロから身を引いた。それなのにこういう結果に終わってしまったんだ。二人の交際は一年には届かなかった。


今まで抑えていた気持ちが重たい蓋を押し上げて、再びあいつの胸の中を占めることはあるのだろうか。


ヒロだってわからない。今はまだ浅倉に未練はあっても、そのうちまた宮西を好きになることだってあるかもしれない。


一度は心の中にいた人なんだ。何かのはずみで気になったりすることは、可能性として考えられなくはない。

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