校庭に置いてきたポニーテールの頃
後ろを振り向くと、シャーペンを持った宮西と目が合った。いつもの癖でお互いさっと目を逸らしたけど、お互いゆっくりと自然に目を合わせる。


「勉強、はかどってんの?」

「うん、それなりかな。大嶋のほうは?もうすぐ私立の受験だね」

「まあな」


俺は教科書を手に、宮西の前の席まで移動した。不思議とためらいはなかった。宮西は数学の問題を解いていた。


「次、面接私だよ。緊張しちゃう」

「中井相手に緊張してどうすんだよ」

「だって今までに面接なんてしたことないもん」

「みんなそうだろ」


こうして二人で話すのはいつ以来だろう。秋に二人でチャリに乗ったときかな。

宮西は本当に緊張しているようだ。両手をこすりあわせたり意味もなく顔を触ったり、落ち着かない様子だ。

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