校庭に置いてきたポニーテールの頃
「同じクラスだったのはたった二年間だけど、私、大嶋にはずいぶん励まされたというか……」

わざわざあらたまって言われると、なんだか別れを告げられるみたいだ。卒業はまだ先だし、同じ高校に行く予定なのに。


「いいって、別にそんなの」


こういう空気は苦手だから、どうにか話題を逸らしたいのだけど、なんとなくそうすることができなかった。

こっちが照れてしまうのも隠しきれなくて、宮西から顔を背けると、意味もなく右手で首の後ろを揉んでみた。


「だから、つまりね、今度は私が大嶋のこと応援する。私なんて何も力になれないんだけど、それでも応援したいって思う」


宮西は俺の私立受験の話をしているんだろうなって思っていた。

少し声が震えているように聞こえる。多分、こいつもこの空気で照れくさくなっているのかな。

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