校庭に置いてきたポニーテールの頃
2002.3.5 親友として
「なあ、昨日は何時まで勉強してた?」

「いくら前日とはいえ、徹夜して体調崩したら元も子もないだろ?だから昨日は11時で切り上げた」


いよいよ公立高校受験当日。会場の東高校は俺らの住む双葉町から少し遠くて、ヒロのおばさんの車に乗せてもらい会場に向かう。

受験の日程は二日間。今日が学力試験で、明日は面接だ。


「やることは全てやったつもりだけど、自信はねえよ。間違いなく緊張するだろうしさ」


助手席に乗るヒロは、最後の悪あがきと言いながら単語帳を鞄から取り出してめくりはじめる。


俺はぼんやりと、後部座席から助手席のサイドミラーに映るヒロを見ていた。

どうやら落ち着いてはいないようだった。単語帳の同じページを行ったり来たり、たまに窓の外を見たりと、目線が一点にとどまることはない。

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