校庭に置いてきたポニーテールの頃
「俺なんて、東高がダメだった後のことなんて、まだなんも考えてねえんだよな。まあ、工業あたりの二次試験でも受けるんだろうけどさ」

「おいヒロ、お前さっきから暗いぞ。受かることだけ考えろよ」


東高の校門前は、受験生の保護者の車でいっぱいだった。

ヒロのおばさんは校門から少し離れたところに車を停め、俺はおばさんにお礼をしてからヒロと二人で下車した。


「ま、あれこれウジウジ考えていても仕方ないよな。合格してないと、何のためにマナミと別れたんだって感じだしな……お、あそこ。宮西がいる」


ヒロが指差す方向に宮西の後ろ姿があった。彼女と一緒にいるのは、同じ双葉中だがよそのクラスの女子で、一緒に校舎の中に入っていくところだった。

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