校庭に置いてきたポニーテールの頃
五人で集まる機会がずいぶん減ったため、直接宮西に伝えてはいなかったが、俺の私立合格の情報は彼女も知っている。

それも担任の中井がホームルームで、クラス全員に発表したからなのだが。


その後の休み時間になってから、宮西が浅倉と浦東と一緒に俺の席まで来て「おめでとう」って祝ってくれたのだ。


ちなみに、宮西達女子も俺と同じ日に滑り止めの私立高校を受験しているが、合格発表は中学を卒業してからになる。


まあどっちみち、あいつの成績なら問題ないんだろうな。


東高の玄関前で一瞬だけ見えた宮西の横顔は笑顔だった。

頭の中で想像してみる。春になって、この場所で東高の制服に身を包み、少しだけ大人っぽくなった宮西の姿を。


ちらちらと雪が降ってきた。最近は気温が上がってきているが、道路の雪は完全に溶け切ってはいなかった。

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