校庭に置いてきたポニーテールの頃
「あー!終わったー!」

玄関を出たところで、ヒロが大きく伸びをする。

「終わってねえよ。まだ明日、面接あるじゃん」

「でも受験勉強はもうやらなくていいからな。終わったようなもんだよ」


晴れやかな表情のヒロを見ると、試験の出来もそこそこだったのが伺える。

秋頃に確かに成績を落としたヒロだったが、その後の努力は俺も見ていた。


「雪、朝より降ってんな」

「暖かいから積もりはしないだろうけど」


校門前でヒロのおばさんを待つ。待ち合わせの時間までは10分あった。


「ヒロ、大嶋!試験どうだった?」


ヒロと二人で声がする方を振り向くと、宮西が歩いてきたところだった。この日は初めて言葉を交わす。


「そこそこだな」

「俺も」

「きっとみんな受かってるよ!私、もうお母さん来てるんだ。また明日も頑張ろうね!」


小走りで車に向かっていく宮西の後ろ姿を見て少しだけ安心した。多分あいつも試験の出来はよかったのだろう。

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