校庭に置いてきたポニーテールの頃
私は大嶋にそのように思われていたんだ。

でも考えてみると、思い当たることはいくつもある。告白されたときだって、自分の気持ちを伝えていない。


そして今も。大嶋にとってみたら訳がわからないはずなのだ。こんな私の態度にイライラしてしまうのも仕方がないことだった。


「あのさ、俺が聞きたいことわかるだろ?さっきの奴のことじゃなくて、お前は俺をどう思ってんだよ」


心を落ち着かせてから、私は今思っていることを伝えようと決めた。今言わないと駄目だ。

きっとこれが最後のチャンスになるだろう。震える手に力を入れて、こぶしを作る。


「多分、途中で自分でも何を言っているかわからなくなると思うけど……」


私は胸を押さえながら軽く深呼吸する。ソファに座っていた大嶋がゆっくりと立ち上がり、ドアの前で腰を抜かしたままの私の側に腰を下ろした。


「大丈夫だよ。ちゃんと聞く」

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