校庭に置いてきたポニーテールの頃
「あのさ、今の俺に中学校の頃を重ねて見るのはやめてくれないか?」

その彼の一言で、頭の中にあった違和感がすっと消えていくような気配がした。


「卒業してから15年も経ってんだ。俺だってお前だって変わってて当然なんだよ。

そうだよ、確かにあの頃は告んのに精一杯でさ、お前に触れることなんてできなかった」


それが違和感の正体だった。抱きしめられた時に感じた、大嶋であって大嶋じゃないような感覚は、私の記憶の中に存在しない彼の姿だったからだ。


「そりゃ、俺だって昔好きだったからな。最近お前が気になったのは多分それがきっかけ。

だけどそんなの、きっかけにしか過ぎねえよ。こないだ飲みに行って、ラインとかしててさ、改めていいなって思ったんだ。

俺が好きなのは、今の宮西なのに……」

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