校庭に置いてきたポニーテールの頃
先月から、父親の勤務先の校長より転勤について打診があったが、まだ公にはなっていないものの、正式に内示が出た。


今の俺に、もう迷いはない。卒業したら、札幌の私立高校へ進学する。


卒業までは残り一週間。この日のホームルームでは、クラスでタイムカプセルを埋めることになっていた。

そして、俺はあの日記をタイムカプセルに入れることにしたのだ。


宮西への気持ちは、全てこの双葉中学校に置いていく。

なぜなら札幌に彼女はいないから。気持ちだけ持っていってもどうしようもない。


そう思って、俺は家から日記を持ってきていた。

だけどこの時点で俺は、自分がいなくなった後の宮西のことまで考えていなかった。


そういうところまで考えられない自分は、やっぱりまだまだ子供なんだろうか。

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