校庭に置いてきたポニーテールの頃
受験が終わってからの教室の中は、張りつめた糸が切れたような、かつてのC組の雰囲気を取り戻していた。

そんな中で、俺は札幌への進学を宮西に伝えないといけないと思っていた。


休み時間、宮西達いつもの三人が集まっていたところで、俺はその事実を伝えたんだ。


伝えた直後の宮西の表情は見ることができなかった。浅倉や浦東が俺にエールを送っている中で、一緒になって「頑張ってね」と言う声だけ聞いた。


その後も宮西もいつもと変わらないように見えた。浅倉達と笑いながら話している。


だけど、俺はその上辺だけの笑顔を見たことがある。ヒロが浅倉と付き合い始めた時と同じ笑顔だったんだ。


もう二度とその笑顔を見ることがないようにと望んでいたはずなのに、俺自身がそうさせてしまったのだ。

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