校庭に置いてきたポニーテールの頃
私は玄関を出た。まだ外は少し寒くて、私は巻いていたマフラーに顔をうずめる。校舎に沿って角を曲がると、非常階段のふもとに大嶋の姿があった。


「宮西、こっち。寒いのに悪いな、こんなところに呼び出したりして」


私は首を横に振った。大嶋と二人になるとなぜか落ち着かなくなっちゃう。胸がきゅっとなって、うまく話せなくなってしまうんだ。


「宮西と話すのも、これで最後かもな」


悲しくなるからそんなこと言わないで……

そんなこと言ったら、本当に二度と会えなくなってしまうみたい。

今は大嶋の顔を見るだけで涙が出そう。彼から視線をはずしうつむいた。


「引越しの準備、進んでいるの?」

「俺の部屋はだいぶ片付いたかな。教科書とかはもう使わないし、さっさと段ボールに詰めちゃった」


大嶋は平気なの?なんでそんなに明るい声を出せるんだろう。


私だけが寂しいって思っているのかな……

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